18.5. 地球の気候変動

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大気中の二酸化炭素やその他の気体の濃度上昇は、地球の気候パターンを変化させる

これは2007年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって発表された報告書の、重要な結論である

100ヶ国以上の国々から参加した数千人の科学者や政策立案者が、数百の科学論文のデータに基づいた、この報告書の作成に参加した

科学者の間では、気候変動が起きているのか否かに関する論争は終わっている

温室効果と地球温暖化

温室効果ガス greenhouse gas

二酸化炭素、水蒸気、メタンなど

地球の大気ガスは太陽放射を透過するが、熱を反射する

その他、クロロフルオロカーボン(エアロゾルスプレーや冷媒に含まれる)のような温室効果ガスは、合成物質である

温室効果 greenhouse effect

温室効果ガスによる地球の気温上昇

自然に生じる温暖化はとても有益である

もし温室効果がなければ、地球の平均気温は-18℃の極寒で、ほとんどの生物には寒すぎる

温室効果ガスの急速な増加による影響が、地球の平均気温を着実に上昇させている

過去100年間にわたり0.8℃上昇し、その温度上昇の75%は最近の30年間に生じている

2007年のIPCCの報告書によると、今世紀の終わりまでに、さらに2~4.5℃の上昇が予測されている

海の温度も、深層と表層それぞれで上昇している

しかし温度の上昇は地球上で均一に生じていない

温暖化は海より陸で顕著で、大きな温度上昇は北半球の最北地域や南極半島で観察される

温室効果ガスの蓄積

長年に及ぶデータ収集や論争を経て、科学者の大多数はｍ、人間活動が温室効果ガスの濃度の上昇を引き起こしていることを確信している

放出のおもな源は、農業、ごみ処理、化石燃料(石油、石炭、天然ガス)の燃焼

主要な温室効果ガスである二酸化炭素

65万年の間、大気中の二酸化炭素の濃度は300ppmを超えることはなかった

産業革命より以前の濃度は280ppmだった

今日、大気中の二酸化炭素濃度は約385ppmで依然増加している

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他の温室効果ガスの濃度も劇的に増加してきた

二酸化炭素は光合成によって大気から除去され、炭水化物のような有機分子として貯蔵される

これら分子は細胞呼吸によって最終的には分解され、二酸化炭素として放出される

結局の所、光合成による二酸化炭素の取り込みと細胞呼吸による放出は、ほぼ同じである

しかし、広大な森林破壊は二酸化炭素を有機物にすることを減少させている

同時に、化石燃料や木を燃やすことで、二酸化炭素が大気に押し寄せる

細胞呼吸よりも急速に、有機物から二酸化炭素が放出されている

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二酸化炭素も、大気と海の表層水の間を行き来している

長年の間、海は二酸化炭素を放出する以上に吸収し、巨大なスポンジの役割を果たしてきた

しかし現在、過剰な二酸化炭素は、海を酸性化させ、海洋の生物群集を変化させている

サンゴ、プランクトン、軟体動物などの海洋動物の多くは、海洋酸性化が進むと殻や外骨格を作ることができないだろう

それら海洋生物の消滅は、それらを餌とする動物や、世界中の海洋生態系が、困難に陥ることを意味する

生態系に対する気候変動の影響

すべての種は、生きるために他種を必要とする

気候変動はこれらの相互作用に打撃を与え、種間の同調を乱す

多くの動植物の生活環の事象が、温度の上昇で誘因される

北半球の至るところでは、春の気温上昇が早まっている

衛星画像は植物の開葉や開花が早くなっていることを示している

鳥やカエルのような多くの種の繁殖期が早くなっている

しかし、ある種にとっては春の到来の合図は日長で、これは気候変動に影響されない

結果として、植物は花粉媒介者が発生する前に開花し、卵は依存している餌資源が利用できる前に孵化するかもしれない

北アメリカ西部の森林生態系に対する気候変動の複合的な影響は、破壊的な山火事

この地域では春になると山からの雪解け水が河川に水を供給し、森林の水分レベルを夏の乾季まで支えている

春が早まるに連れ雪解けが早くなり、乾季が終わる前に水がなくなってしまう

結果として、山火事の季節が長く続く

一方、針葉樹に穴をほって卵を産むキクイムシは、地球温暖化の恩恵を受けている

健全な樹木は虫害を撃退できるが、乾燥ストレスを受けた樹木は弱って対抗できない

キクイムシにとってありがたいことに、暖かい気候は年間に2回の繁殖を可能にする

また、多くの枯れ木は山火事の燃料となる

山火事は長く燃え、燃焼される面積も劇的に増大した

気候と降水量でけていされる陸上バイオームの地図も変わりつつある

永久凍土の融解は、ツンドラの境界を北の方に移動させ、灌木や針葉樹は、今まで糖度だった地域に分布を拡大させている

長引く干ばつは、砂漠の境界も拡大させている

科学者は、気温上昇による土壌の乾燥にともない、アマゾンの熱帯多雨林がしだいにサバンナに変化することも予測している

地球の気候変動は、人間にとっても重大な結果をもたらす

気温や降水パターンの変化は、食糧生産、利用できる水、建物や道路の構造的な健全性に影響する

あらゆる予測が、将来の大きな影響を指摘している

しかし、人間は他の種と違って、温室効果ガスを削減する行動をとることができ、温暖化を阻止できるかもしれない

我々の将来を見つめる

温室効果ガスの放出は加速している

2000年から2005年にかけて地球上の二酸化炭素放出は、過去10年より4倍以上の速さで増加した

この速度でいくと、さらなる気候変動は避けられない

しかし、努力と工夫によって、我々は放出を減少させることができるかもしれない

新たな気候変動条約の下で、1997年の京都議定書をうまく機能させるための国際的な交渉が行われており、それは先進国に対して温室効果ガスを削減することを要求している

問題の広範さと複雑さを考えると、個別の行動は温室効果ガスの削減にはほとんど意味をなさないと思うかもしれない

しかし、温室効果ガスの放出の増加は、個々人の集団的な活動によるものである

炭素フットプリント carbon footprint

個人の活動で放出される温室効果ガスの量

炭素フットプリントは、一連の大まかな計算から推定される

家庭のエネルギー利用は、炭素フットプリントの主要な貢献者である

電気、テレビ、その他の電気製品を使用していないとき、それらのスイッチを消すことで、あなたのエネルギー使用量を減らすことは簡単にできる

また、エネルギー効率の高い電球に切り替えることもできるだろう

更に使用していない電化製品、たとえば、携帯電話の充電器、テレビゲーム、プリンターの電源を抜くこともできるだろう

交通は、炭素フットプリントのもう1つの大きな構成部分

乗用車を持っているなら、よく整備し、集団で通勤し、友人と共用で乗車し、そして、できるかぎり大体的な交通手段を利用すべきである

工業製品は、炭素フットプリントの3番目のカテゴリー

原材料から製造されて店頭に並ぶまでに、炭素フットプリントを発生させている

不必要なものを買わないことで、あるいは物を廃棄する代わりに再利用することによって、炭素放出量を減らすことができる

ゴミ廃棄場は人間による最大のメタン放出源であり、メタンは二酸化炭素よりも高い温室効果を持つ

メタンはバクテリアがゴミを分解することで放出される

食生活を変えることも炭素フットプリントを小さくすることになる

ウシの消化器官系は、メタンを産むバクテリアに依存している

ウシによって放出されるメタンや、バクテリアがウシの糞尿を分解することで放出されるメタンは、米国のメタン放出量の約20%にも及ぶ

したがって、あなたの食事を牛肉や乳製品から魚や鶏肉や野菜に変えることで、炭素フットプリントを減らすことができる

地元で作られた新鮮な食べ物を食べることは、食物の加工や輸送によって生じる温室効果ガスを削減することにもなる

→18.6. 科学のプロセス : 気候変動は、いかに生物種の分布に影響するのか